53人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら行くぞ春原。」
「あ、ああ。 分かった。」
完全に意気消沈の春原に声をかけ俺も藤野たちの後に続いた。
それからは、春原の保健室紹介(保健室とは、聖なる禁断の聖域)発言意外は特に問題もなく校内を案内することが出来た俺たちは、下駄箱で自分たちの靴に履き替えて学校を出た。
「じゃあね。 安奈ちゃん。」
帰り道が違う藤野と春原が振り返って、上野に手を振る。
「はい、今日はありがとうございました。」
上野も、かわいらしい顔で微笑んで手を振る。
「また、俺の力が必要になったらいつでも呼んでくれ。 かわいい君なら大歓迎だよ。」
「じゃあ、今すぐ死んでちょうだい春原。」
「ちょっ! ひどいよそれ! 存在自体を消滅要求ですか!?」
春原の余計な言葉を流しつつ、藤野はもう一度手を振って帰り道を歩き出した。
上野も苦笑しながらそれを見送る。
「さてと、んじゃ帰るか。」
帰り道が同じ俺は、上野にそう言って坂道を歩き出す。
「あ、はい。」
上野も慌てて俺の隣に早歩きで来る。
俺はそれを横目で見つつ、金色に輝く夕焼けを見た。
もう、6時を回ろうとしている夕焼けは若干沈みかけていて、もうそろそろ日没に指しかかろうとしていた。
そんな中、隣をてくてくと歩く上野が気まずそうに口をあけた。
「あの、皆城さん。」
「普通に竜司でいいよ。」
「あ、はい。 では、竜司さん。」
さん付けはこそばゆいから名前で呼ぶよういったんだけど、親の教育上なのか上野は、さん付けはやめずに竜司に、さんをつけて呼んで歩きながら言葉を続けた。
「あの、学校はいつもあんな調子なんですか?」
おそらく、クラスの雰囲気の事を言っているのであろう思った俺は、
「まぁ、そうかな。」
と言って、ちょっと苦笑した。
「騒がしいけど、楽しくて良い学校だと思うよ。」
最初のコメントを投稿しよう!