53人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の名前は皆城竜司。
普通に読んでみなしろ、りゅうじ、 だ。
今年で高校二年生になる俺は、春のうららかな陽気に目をこすりながら桜道を歩いていた。
鳥のさえずりに耳を傾け、学校まで続く坂道に入った俺は、時間を確認して少し焦りを覚えた。
「やばい、このペースじゃ完璧に遅刻だ。」
もともと、あまり遅刻をしたことがなく成績もどっちかと言うと半分より上な俺は、初めての遅刻の感覚に頭を悩ませながらとりあえず坂道を走り出した。
「間に合うといいけどっ。」
額に若干の汗をかきながら俺は、とりあえず長い坂を上りきる。
もう、この時間に登校する生徒はいず、坂を上りきった俺は学校の向かって更に走り出そうとしたそのとき。
「あ、あの ちょっと待ってください!」
「・・・?」
突然、自分が上って来た道から聞こえてきた声に俺は、後ろを振りかえる。
「あ、あの 道を聞きたいのですがよろしいですか?」
そこには、俺の高校と同じ制服を着た身長150くらいの小柄な見た目かわいらしい女の子がいた。
色は青、というよりは水色でちょこっとしたツインテールを作っていて、もみ上げが胸の所くらいまである髪型。
紺のブレザーとリボン、膝下くらいまでの飾り気のない学校指定のスカートの制服。
(こんな子、いたっけ?)
目の前にいる少女を見ながら俺は、頭をひねった。
(どう見ても、うちの制服だけど、しかしどう見ても14歳くらいにしか見えない。 こんな子いたら学校で噂にでもなるはずだけど・・・)
「その、学園の道を聞きたいのですが、えっと、聞いてますか?」
少女が心配そうな瞳で俺の顔を覗き込んでくる。
というか、こっちは身長が180近くあるから少女の身長からではそうとしかとれないわけなんだが・・・
俺は、そんなことを考えながらとりあえず自分も急いでいることを思い出す。
最初のコメントを投稿しよう!