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「あ、えっと、俺も学園に行く途中だから案内するよ。」
「あ、ありがとうございます!」
心底嬉しそうに微笑む少女に俺は、遅刻寸前なのを伝えながら一緒に軽い足取りで学園に向かって走り出した。
★
「ふぁ~~、やっと、終わった~。」
始業式が終わり、ぐだ~と自分の席に張り付きながら俺は眠気を払うようにまぶたをこする。
なんとか始業式には間に合ったが、なぜかその最中に少女を見ることはなかった。
(転校生としか考えられないよな、あの子って。 一年生かなやっぱり。)
「お、なんだ竜司そんなに眠そうな顔して、まさか昨日の夜なにか良い事でもしてたのか?」
ふいに、にやけた顔をしながら前の席の奴が俺に話しかけてきた。
金髪でハリネズミのように立たせた髪に、男らしいというか、違う意味で鋭い目をした中柄な少年。
コイツは、俺の幼稚園からのダチでナンパ癖のある男、名前は春原順平(すのはらじゅんぺい)だ。
いつも変な事(下ネタ)を言っているある意味世界で一番正直者な男だ。
「ちげ~よ、んなんじゃ。」
「じゃあ、なんだよ? 今日は珍しく遅刻寸前だったじゃん。」
「ああ、ちょっと目覚まし時計が壊れてたからな。」
「・・・」
「なんだよ、その目は?」明らかに、(そんな嘘は俺には通用しないぞ。 正直に言って楽になっちまえよ)という春原の目に俺は、目を細める。
「・・・まぁ、いいか。 人には隠しておきたい事の10や100はあるっていうし。」
「い、いや、100も隠している奴なんて滅多に居ないと思うぞ。 というか、俺は嘘なんかついてないし。」
(んまぁ、これ以上変な誤解を生み出さないのならいいか。)
とりあえず、春原との変な会話が終わった俺は眠気を覚まそうと大きく伸びをした。
その時
「おっす竜司!」
「ぐほっ!」
いきなり喉元に満面の笑みで空手チョップを繰り出してきた女子に俺は、喉を抑えながら振り返る。
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