勘違いな試練

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朝のホームルーム後 妙に疲れた顔をしている俺に藤野が心配そうに声をかけてきた。 「どうしたの竜司? なんかヤツレテ見えるけど。」 「・・・はは、そんなことないさ。」 俺は、心配そうな表情をする藤野にそう言って隣にいる上野を見た。 上野は昨日の疲れた様子はなく、背筋をピシッと伸ばして一時限目の授業の準備をしていた。 そんな上野を見て俺は、同じく授業の準備をしている藤野に、 「なぁ、今日の放課後に上野に校内を案内したがいいんじゃないか?」 「ん? ああ、そうね。 昨日は案内できる状態じゃなかったからいいかも。」 「お、なんだ安奈ちゃんを案内すんのか? なら、俺も行くぞ。」 前の席に座っていた春原が興味がありそうに後ろを向いてきた。 「それは、安奈ちゃんに迷惑でしょ。」 すばやく藤野が迷惑そうな顔で春原を追い払うように手をひらひらさせる。 「ちょっ! それひどくない!?」 「あ~、うるさいわね。 どうせあんたのことだし、何かたくらんでるんでしょ?」 「うっ、そ、それは」 一瞬で春原は目的を言い当てられて冷や汗をかいていた。 だが、 「あの、迷惑でなければ春原さんにも案内をしてもらいたのですけど・・・」 「マジで!? やったー! 安奈ちゃん最高!」 「ちょっ! 安奈ちゃん!?」 意外な展開に藤野と春原は喜びと困惑の表情を浮かべた。 おそらく、あまりにも春原が惨めに思えての行動なのだろうが、そんな事はお構い無しに春原は両手いっぱいで喜んでいた。 「いいのかホントに?」 「あ、はい。 大勢のほうが楽しいですし。」 俺の問いかけに何のためらいもなく上野は笑顔でそう応える。 (春原、もはや年下の転入生に気をつかわられるとは惨めを通り越して、悲しい男だな。) 「ふぅん。 そっか。 じゃあ、面子も決まったし放課後は校内案内に決定だな。」 「はい、よろしくお願いします。」 上野のはからいもあって、こうして春原を入れた4人での校内案内は決まった。
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