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時間の流れが違うと言うのはどうやら本当らしい。一人あたり5秒ぐらいで直ぐに出てきていた。
正面の門から入った人たちは、脇にある小さい扉から右側の広場へと流れる。入口付近では次々に番号は呼ばれ流れ作業のようにスムーズに人が流れていくように見える。
そのため彩の順番がくるまでそう長くはかからなかった。
「次、400番から500番のかたはこちらへ」
「あっ、私行かなきゃ。運が良かったらまた会いましょう」
彩は、少し緊張の表情を残しながらもかるく微笑みそう言った。そして、人混みの中に入っていく。
明は、遂に取り残された。一人になると急に不安が込み上げてくる。
このまま帰ってしまいたいのが本音である。しかし、明には帰り方が分からない。ここに来るときですら自分の力で来たわけではないわけで。
何もできず、ただきょろきょろしてる間に時間が流れ、
「600番から700番のかたコチラへ」
その時が迫ってきていた。
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