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と、ここで一つのことを閃く。もしかしたら呼ばれても行かなきゃ面倒なことに巻き込まれないのではないか?と言うことである。そこで、明は必死に知らん顔をする。
「666番の城崎明さん。居ませんか」
その努力は報われず、不覚にも名指しで呼ばれた。
「何で名前知ってるんだよ」
と思わず声に出したが直ぐに悟る
あぁ、ここは不思議の国だ……
予想外の事態が起きることへの免疫が少しついてきたらしい。冷静でいられる自分に関心しながら、諦めて門の方へと足を進める。
次第に前の人数がへり自分の番が近づいてくる。ついには、目の前の人が呼ばれ自分の番がくる。
「では 666番の方、中へ」
おそるおそる門をくぐると、芝がびっしり生えた庭が少しあり、道が建物の扉まで続いている。また、その道は途中から枝わからし、小さい方の扉、要するに出口へと繋がっていた。
先ほどは塀で見えなかった城の外形もよく見える。予想通り、建物の壁は真っ白で所々に見られる円柱状の形や円錐状の屋根は正に城を表していた。
しかしながら、明にはそんなものをじっくり見ていられるほどの余裕はなく、係の人の言う通りに黙ってついていく。
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