第一部
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そして私達は、ゆとりのある大きな湯船に隣り合わせに浸かった。 「こんなに広い浴槽だと、まるで旅館にいる様です」 彼はそう言うと、華奢な身体を猫の様に伸ばした。 「昔取った杵柄に物をいわせて造らせたのだよ。独り身には勿体無い檜風呂だが、今日君が来てくれたお陰で無駄にはならない様だ」 「どうやら、私はお役に立てた様ですね」 私達はそんな事を談笑しながら、ゆっくりと風呂場を後にした。
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