第二部

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外がやけに静かだな……。 あの後、私はいつの間にかうたた寝をしていたらしく、目覚めた時にはどっぷり日が暮れていた。 肩には葵君が押し入れから出してくれた毛布が掛けられている。 葵君を探そうと思った瞬間、不意に彼の声が庭の方から聞こえてきた。 内容は分からなかったが、必死に何かを頼み込んでいるらしく、その口ぶりからかなり急いているのが感じられた。 私は気配を悟られぬ様に、障子のわずかな隙間から庭をのぞく。 すると、黒いコートを着た男と話している葵君の姿があった。
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