第一部

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何と美しいのだ、彼こそが天使と呼ばれるべき者なのだろう。 先程から凝視している私の目に耐えられなくなったのか、彼は恥ずかしそうにうつむくとその身をかがめて洋服で白い肌を隠した。 その姿は、得も言われぬ程の妖艶さに満ちていて、私の奥底にある欲望を刺激するには充分すぎた。 「もう風呂が沸いているかもしれないな」 気まずさの余り私は大袈裟に咳払いを一つすると、互いに沈黙の続くこの場からすぐさま風呂場に向かった。
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