一章 サラサラ落ちる砂の粒。

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俺は帰る準備をして鞄に手をかけた時、後ろからコロコロと砂時計が転がってきた。 落ちた砂時計を拾い上げ、彼女の机に置いてあげた。 「ありがとう…」 彼女はそう言うと、また砂時計をいじり始めた。 それにしても、何でいつも砂時計を持ってあるんだろ? 不思議すぎる…。 俺がそんな事を考えていると教室の扉が開き、そして 「お前ら、下校時間はとっくに過ぎてるぞ。 早く帰れ」 声の主は俺たちの担任だった。 「すいません。 直ぐに帰ります」 俺は鞄を持って教室に出ようとしたが彼女がまだ砂時計をいじっている。 引き返して彼女に 「早く帰らないと、門が閉まるぞ」 彼女は顔を俺の方へ向き 「え? 何?」 その時、彼女の顔を間近に見た。 流れるような長い髪。 少し、茶色掛かったクリンとした目。 まぁ兎に角、可愛かった。
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