これが本当のシンデレラボーイ

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花が乱れ咲く春のある日、王宮から触れが出された。 【城下町】 「お触れ見たか?」 「明日の王子の16歳の誕生パーティーだろ?」 「でもそれだけじゃないだろ?」 「ああ、このパーティーで王子の后を決めるんだろ?若い娘は全員参加で、服がなければ王宮で用意するってよ」 「男も金を出せば、参加できるんだろ?王侯貴族に近づくチャンスじゃないか」 「バ~カ、参加費は高いんだぞ。俺たちじゃ払えねぇよ」 「王女は数年前に亡くなってるし、跡継ぎは王子しかいないから、結婚できれば、国のトップになれるんだよな」 「15~25歳の女か…うちにはいねぇよ。」 「残念だったな」 「しかし王子はどんな女を選ぶんだろうな……」 「シンデレラ!!ピアスが片方ないわ。探しなさい!」 双子の妹の娘は明日のパーティーのために衣装合わせをしていた。 「あら、ピューラ。とても綺麗よ。これなら必ず王子も気に入るわ」 着飾った娘を見て、母である双子の妹は満足そうに笑った。 妹は年をとっても美しさは損なわれず、娘もシンデレラよりは僅かに劣るが、凄い美女だった。 「そのピアスなら鏡台の下に落ちてますよ…これですよね」 シンデレラはピューラの落としたピアスを拾って渡した。 ピューラは何も言わずにピアスをひったくると耳に付けた。 「お母様、明日はこれを着ていきますわ。そして王子を堕としてご覧にいれます」 ピューラは鏡に映った自分の姿を見つめながら自信満々に言い放った。 「期待しているわよ、ピューラ。さぁ、着替えてお茶にしましょう。 シンデレラ、この部屋を片づけなさい。くれぐれも壊したり汚したりしてはいけません」 母はピューラが衣装合わせのために引っ張りだした服や靴やアクセサリーで散らかった部屋の掃除を命じ、ピューラをつれて出ていった。 シンデレラはその様子と部屋の惨状を見て、呆れ顔で溜息をついた。 「よくやるよ、全く」 シンデレラもパーティーに呼ばれているので本来は今頃準備をしているはずなのだが、ピューラの母がシンデレラの招待状を処分してしまったので、いけなくなってしまったのだ。 しかし、シンデレラも元から参加するつもりがなかったので、気にしていなかった。 (男の俺が王子の后選びのパーティーに行っても仕方ないし)
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