これが本当のシンデレラボーイ

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シンデレラはパーティーは自分に全く、これっぽちも、塵の一粒以上に関係のないことだと思い、掃除を開始した。 要領のいいシンデレラは、一時間もすると、腐海の森並にごちゃごちゃだった部屋をモデルルーム並に綺麗にした。 「さて、綺麗になったし、日が沈み前に洗濯物でも取り込もう」 言いながら、シンデレラは軽く肩を振って、洗濯物を干している庭に歩きだした。 シンデレラの仕事は主に掃除と洗濯や食器洗いに買い物、その他の雑用で、植物の手入れや料理などは専属の庭師やシェフといった専門家が行っていた。 夜、仕事を終えたシンデレラは自室として与えられている離れの物置に戻ってきた。 「ふ~、疲れた。今日は明日のパーティーのせいで、やたらと仕事が多かったな」 シンデレラは言いながら、いつも寝ている床に座って、いつものようにピューラたちが残した残飯を食べ始めた。 すると、あちこちからネズミや猫といった動物がシンデレラに寄ってきた。 「ああ、皆。ごめんね、遅くなって。今日はちょっと少ないんだけど、…はい、どうぞ」 シンデレラは自分が食べていたものを動物に分けた。 動物はそれを美味しそうに食べていた。 残飯とはいえ、彼女たちが食べていたものなのでかなりいいものだったりする。 「明日はあの人たちが出かけるから、もっと少なくなるんだ、ごめんね」 シンデレラは心底申し訳なさそうに動物たちに話しかけた。 動物たちもシンデレラの言葉を理解しているのか、気にするなと言うように鳴きながら、すり寄ってきた。 「ふふ、ありがとう。 さあ、皆。食べ終わったかな?もう夜も遅いし、そろそろ休もうか」 そう言うと、動物たちは一鳴きして、戻っていった。 シンデレラはそれを見届け、優しく微笑んだ。 「おやすみ、皆」 そして、窓から月や星の輝く空を見つめた。 「おやすみなさい、お母様、お父様」 亡き両親に挨拶をしたシンデレラは、ボロ布を被って、眠りについた。 (明日も忙しくて、騒がしい一日になりそうだな)
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