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「久しぶりだね、二人でこうして話しするの。」
祐介は、香織と二人で歩きながら、過去を振り返った。
「香織、ごめんな。」
祐介がそう言うと、香織は首を振る。
「祐介のせいじゃないよ。」
「でも、今日は綾子に感謝しているよ。
自分の心に秘めてたときは、香織ばかり思い出して辛かった。
でも、今日は香織に自分の気持ちが言えてよかった。」
祐介の笑顔が眩しかった。
香織の心に確かに祐介は存在する。
祐介を選んでも後悔するだろう。
俊平を選んでも後悔するだろう。
それでも、自分の幸せをいつも後回しにしてきた。
他人の事ばかり考えてきた。
最後の自分の決断で、誰かが傷ついてしまう。
それでも香織が結論を出さなければいけないことを、香織はわかっていた。
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