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「愛だなんて素晴らしいよ。キミ達はずっと一緒だ。健さんキミはやはり幸運だったね。キミを愛してやまない人はキミになるんだよ」
悪魔はそう言うと、狂った様に食べることを止めない女性の腹も、同様にして炸裂させた。そして、女性は言うまでもなく、死んだ。
「嗚呼、馬鹿馬鹿しい。なんてモブキャラなんだか。マジで……ホント低俗っていうかさ、センスないよねぇこんなんで悦ぶのは君達バカップルくらいだよね」
飽きたオモチャを乱暴に放り投げる赤ん坊のように、急変する悪魔の態度。その発言に、改めて背筋を凍らせた人間が続出したのは言うまでもない。
「まぁ暇潰しにはなったかな。これで他の皆さんにも爆弾に対する現実味を持ってくれたら嬉しいなぁ。あはは。今みたいにこっちから爆発させることはもうないから安心してね。どうでも良いけどいくら嘔吐してもその爆弾はもう取り除かれないから、好きなだけゲロまみれになっちゃってね」
喋りを聞いているだけで頭が可笑しくなりそうである。
「2人の爆発はNo.9くらいの威力だから参考にね。その命の代わりにタメになる話、聞かせてあげるよ。みんな気になるだろうプリミング(priming)には、起爆剤とか、点火薬品って意味があるんだよ。うん。そんだけ。あはは」
「有り得ない……質問が、あるわ」
先程のプリミングNo.3の強気な女性が声を上げた。
「えぇと自殺志願者No.3のリカさんですね? どうぞ」
ナンバーを皆へと告げるのは自殺行為に等しい。それを皮肉ったアナウンスの真意を理解した者などこの場に居たのであろうか。
「あんた一体何者なの?」
リカと呼ばれた女性は、悪魔が発する声が流れるスピーカーを、泣きそうな顔で睨み付ける。いくら強気といってもこればかりは仕方がない。
辺りは血生臭さとソレを見てしまった者の吐瀉物の臭いにまみれていた。それは地獄絵図。
「僕は審判です。あ、武器を支給してあるよ。色々な所に隠してあるから見付けてどんどん使ってくれて構わないからね。あはは。ちゃんと戦いなよ? リカさん。貴方に家族を生け贄に出来るかな? マコト君の楽しい小学校生活も今日で終わりかな?」
何故知っているのかという疑問よりも、息子を巻き込もうとしているという事実への怒りが大きく勝る。
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