爆発殺人鬼ごっこ

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「訳わかんねぇよ!!」 錯乱というよりは葛藤に近い、激しく苦悶の表情を浮かべる男性。コンクリートの壁を両手で叩くように殴る。 「先輩……僕どうしたらいいんでしょうか……」 その男性の後ろにつく、おどおどとした男性。2人は高校の頃からの同じ部活での先輩と後輩の関係、それが同じ大学に通い、そして奇遇にも同じ会社に勤めていた。 「あのクソアナウンス野郎……説明不足過ぎんだよ!! マジでこんな馬鹿みてぇな話にやる気んなる奴なんて、いるとでも思ってんのかよ!?」 分かっている。それが分からないこそ、今こうして苛々する羽目になっている。 「先輩……僕死んじゃうんですか? 健さんみたいに……」 後輩男性は、半ば泣きそうな表情ですがり付くように先輩の顔を見る。 「んな訳あるか!! 健さんとあの女の人が死んだのは事故だ」 それは、後輩に投げ掛けるというよりは自分自身にそう言い聞かせているようにも思えた。状況を飲み込むことを拒絶した一人間の精一杯の強がり。 (今思い出しても吐き気がする……) 先輩男性は、そうあって欲しいという想像とは裏腹に厳然とそこに存在しているその現実という名の化け物を、全くもって否定することが出来なかった。
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