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2階
女性用個室トイレ
そこには先程の気の強い女性が居た。その手にはスタンガンが握られている。女性の小さな手には明らかに不釣り合いなほど黒々と鈍く光る高電圧源。
(こんな物があるなんて……武器があるのは本当なのね)
彼女は、少しガッカリした。この場にそぐわない表現かもしれない。だがしかし、願わくば武器なんて物はあって欲しくなかった。人の死を目の当たりにした後でも、この事態はなんらかの冗談であって欲しかった。彼女はスタンガンを見付けた時、いのいちにガッカリしたのだった。
恐怖に打ち克つために、彼女はこれでもかと心の中で悪態をついた。感情のままに主催者と思しき例のアナウンスの男を心の内で罵った。怒りが彼女を勇気付けてくれた。愛する我が子の存在が、彼女に力を与えた。
東山理香(ヒガシヤマ リカ)
プリミングNo.3
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