爆発殺人鬼ごっこ

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遠くから呼びかける声。その声から敵意は感じられない。三人の緊張はこの段階でやや緩む。 「だ、誰か居ますか?」 その声の主は先程の先輩後輩の二人組でいた聖であった。 「あ、平松君だ!!」 その姿を確認するや否や小吾朗が聖を指差す。そして聖も同様に小吾朗の姿を確認し、顔を綻ばせた。小吾朗と秀昭同様に聖も同期の社員であり、特に小吾朗はその気の弱さが引き合うのであろうか、普段から聖と親しくしていた。 「一真か……」 そして一年先輩の大我と一真、こちらも同期の社員である。一真はまずなにより無事でいてくれて良かったと、二人を労った。 どういうことだ、と大我が疑問を投げ掛けるや否や、三人は会議室で起きた事をありのままに大我と聖に話した。それは、二人が最も聞きたくない現実に他ならなかった。 「ま、まさか黒間の野郎が……信じられねえ。あいつはそんな柄じゃないだろう? ここの社内でも指折りで誠実マジメなヤツだと思ってたのによ」 大我は壁を拳で思い切り叩く。薄ら赤く滲んだ手の甲を見た聖は、心配そうに大我を見つめた。 「俺が見た時には2人も殺していたが、もしかしたらまだまだ被害者が出ているかもしれない」 一真はそう口にしたが、事実黒間直哉によって既に三人目の被害者となる女性が殺されている。彼らは今、それを知ることは出来ない。もしかしたら、他にも同じ様なことが起きているかもしれない。 出来ることなら確認などしたくはない。しかし、状況が確認出来ないという現状もまた、五人の心を鷲掴みにするほどのストレスを与えていた。
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