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「ところで、一応聞きますが、君達のプリミングナンバーはいくつだい?」
インテリ男、秀昭は思い出した様に二人へと尋ねた。自分達三人は皆ナンバーがゼロであり、本来は温厚な人間であると認識していたはずの黒間直哉の突然の変貌。その理由は数字持ちであるからだと判断したのであろう。彼の数字持ちへの警戒心は並々ならぬものであった。
「僕は……」
「それは言えない」
聖の台詞を掻き消して大我が割り込むようにそう口にした。勿論大我は分かっていた。ナンバーゼロの人間が数字持ちの人間を著しく警戒することくらい。しかし、大我は聖の人柄を知っているし、なにより長年の付き合いである後輩を完全に信頼していた。
彼は、聖を守らなければならないと心に決めていた。
「は? そんなんじゃ信用できねぇよ。大我、別に数字付だったからってどうこうしようって訳じゃない。俺らはみんな0なんだ。だから安心して教えてくれ」
一真がそう言ったのを契機に、三人は時計を見せた。数字が0であれば確かにこのゲームに参加する必要はない。あとは自衛のことを考えておけばいいのである。一真の主張はその立場から考えると至極真っ当な物であった。
しかしそれは、実際に数字が割り当てられてしまった者の気持ちを汲み取っているとは言えず、そういった無配慮を大我は少し残念に思った。
しかし、これも友人の頼み、無下に断るのも心象が悪いと考えたのか、迷った挙句にこう口を開く。
「0と3。どっちが数字付きかは言わねぇ。これで良いか?」
大我の発言を聞き、その場は収まるような空気を見せていた。小心者ではあるが心優しい小吾朗は、例え数字付きでも二人のことは信用しようと考え、一真もまた質問に正直に答えてくれた大河を信頼しようと考えた。
ただ、秀昭だけはそのように考えることは出来なかった。
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