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午前12時 激しい腹痛を訴え出す者が現れた。 倒れ込み、のたうち周る。絞り出す様な悲鳴なのだが、それは音を為していなかった。その姿は異常であった。 そこで再度社員を集めて緊急会議。 あの新薬がまずかったのだろうか? それとも腹痛を訴えた男性に稀少なアレルギー反応が出たのか。どっちにしろ全員飲んでから大分時間が経っている。 「なにか腹部に違和感を覚える者は居ないだろうか? 提供元には、問題ありとして結果を報告しようと思う。この新製品の実験は即刻中止にする」 会議室に詰め込まれた社員達に、部長はそう宣言した。 しかし、これと言って異変を訴える訳でもなく、皆平然としている。そろそろお昼時だが、その男性の容態が気になる所。そんな中、皆昼食にありつける訳がなく、しかも困った事にここはとある理由から携帯が使えないのである。 なので救急車も呼べない中どうするべきかと皆が悩んでいると…… 微かな動揺の中、会議室にアナウンスが鳴り響いた。
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