4098人が本棚に入れています
本棚に追加
午前12時
激しい腹痛を訴え出す者が現れた。
倒れ込み、のたうち周る。絞り出す様な悲鳴なのだが、それは音を為していなかった。その姿は異常であった。
そこで再度社員を集めて緊急会議。
あの新薬がまずかったのだろうか?
それとも腹痛を訴えた男性に稀少なアレルギー反応が出たのか。どっちにしろ全員飲んでから大分時間が経っている。
「なにか腹部に違和感を覚える者は居ないだろうか? 提供元には、問題ありとして結果を報告しようと思う。この新製品の実験は即刻中止にする」
会議室に詰め込まれた社員達に、部長はそう宣言した。
しかし、これと言って異変を訴える訳でもなく、皆平然としている。そろそろお昼時だが、その男性の容態が気になる所。そんな中、皆昼食にありつける訳がなく、しかも困った事にここはとある理由から携帯が使えないのである。
なので救急車も呼べない中どうするべきかと皆が悩んでいると……
微かな動揺の中、会議室にアナウンスが鳴り響いた。
最初のコメントを投稿しよう!