美術室の出来事

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美術室の出来事

何も喋ることなく美術教師と二人廊下を歩く、放課後のため生徒の姿はない。 元々端にある美術室なら尚更だろう、どうやら部活も今日は休みのようで美術室内はひんやりと冷たい。 中に入ると美術教師はドアの鍵を閉める、もしや説教されるのかと俺はいても立ってもいられず口を開く 『越谷せんせ…俺、何かまずいこと…しましたかね?』 おずおずと言うと美術教師…もとい越谷先生はクスリと小さく笑って、ズイッと距離を詰めてきた。 俺は反射的に近づかれた分だけ後ろに下がる。 なんか…怖いし。 普段真顔で通っている越谷先生、身長も俺より頭二つ分くらい高い。その上体つきもしっかりしていて女子からもモテるし…男子からもこっそり憧れてるし… と…とにかく、なんで俺に爽やかに笑い掛けるのかわからず俺も苦笑いで返す。 むしろ苦笑いしかできない。 「中村くん…君はとても可愛らしいな、前々から思っていたが。」 は…? 何言ってんだ…そんな爽やかにサラッと。 つか青春真っ只中の男盛りの俺にカワイイもクソもないだろ。 あまりにサムい台詞にポカンと見上げていると、越谷先生は俺の頬に触れてくる。 心なしか手が暖かい…寒い教室だけに一瞬離れがたいと思ってしまうが、そんなわけにはいかず手で振り払おうと手を上げると急にその手首を捕まれその上捻られて自分の背中に付けられる。 腕には痛みが走り、眉をしかめる。 痛みに気を取られている内に顎を掬い取られ、そのまま越谷先生の顔が近づき柔らかいもので唇を塞がれた。 痛みと苦しさで頭が働かない、俺は今どうなってる?何でこんな事されてんの?むしろ俺誰? …誰か助けて!!! 『すんませーん…越谷センセー、ちょっと聞きたいことあるんすけどー。おーい、いないんすかー。』 …! 天の救い!誰だか知んないけど…ッ! 『ん゙ーッ!助けッ!?』 ありったけの力を込めて声を出し、空いてる手で越谷先生の体を押し助けを呼ぶが顎にあった手で口を塞がれる。 ドアの向こうからは声がしなくなった代わりに、走り去る声が聞こえて。 居なくなってしまったことにショックと不安が入り交じる、そんな中捻り上げられていた手が解放される、途端に体がグラつきバランスが崩れ倒れそうになる。 『…っと…邪魔がはいるところだったね、中村くん。』 越谷先生に抱き留められる、振り払おうとするが片手はまだ痺れているし、強く抱き締められてどうしようもない
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