ピンチ回避、そして混乱

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ピンチ回避、そして混乱

. 手を繋いだまま廊下を歩き、結城の後を何も言わずついて行き。 俺はその背中に言いたいこと、聞きたいことがたくさんあるのに頭が混乱しているせいか言葉が浮かんでは消える。 心なしか息苦しくて、視界さえかすみ…歪む。 でも…繋いだこの手を離したくない… もっと繋がって ずっと繋がって 側にいてほしい …なんて、どうかしてる。 今日の俺はきっとどっかおかしいのかもしれない…だからあんな目に… 「…光太!…大丈夫かッ!?」 誰かに呼ばれてる でも寝てたい 「光太!聞こえてんのか?」 うるせぇなぁ… いい加減に…ッ! 『…うるせぇ…』 目を開くと真っ白な部屋、見たことある白いカーテン。 天井を背景にしてキラキラと夕日を浴びる綺麗な髪、心配そうに俺を見てる。 「…何寝てんだ、帰るって言ったろ。」 泣きそうに笑う結城、約束した覚えなんてないっつの。 「急に泣きながら倒れたからマジビビったんだからな…頼むよ、ホント。」 穏やかに笑いながらそう説明されると、頬を撫でられた。 確かに微かに濡れてる気がした、それに暖かい。 越谷先生の手とはまた違う繊細な温もり、心の底から温かい。 俺はコイツを誤解してのかも…よく知らないのに否定して悪かったな… 『…心配掛けたな…ッ痛!?頭…いて…』 モソモソと保健室のベッドから起き上がるも、ズキリと頭に痛みの電流が走る。 痛みの元に手を伸ばすとコブが出来てるし、ふと結城を見ると両手を合わせこちらを見ている。 『悪いな…前向いてたから、光太が倒れたときに支えらんなかった』 ははは、と楽しげに笑いながら言うと立ち上がってカーテンを開け出て行く。 その背中を見送りながら俺は自分が先生にされたこと、その後の経過を思い出す。 怖かったけど、自分の身体の異変にも気付いている。 そんなこと思い出しといたら背筋がゾクゾクしてきた、感覚を忘れようと腕を擦る。 「光太、帰ろう。先生が帰って良いって」 結城はいつの間にかカバンを背負っていて、俺のグリーンのブレザーにスポーツバッグまで。 『あ…あぁ…そうだな。』 ベッドから降りるとブレザーを手渡され、着るのを待っていてくれた。 着終わるとカバンを受け取り肩に斜めに掛ける、すると結城はカーテンを開けてこちらに笑い掛ける。 真っ直ぐに見るのも躊躇われ視線を逸らしながらそこから出て、
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