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「じゃあまずは紅川~」
「ふえぇ~!」
愛華の要望はスルーされ、あいうえお順にテストが返却されていく。
と、言い忘れていたが、今回のテストは夏休み明けの確認テスト。成績に直接的な関わりはないが、やはりテストはいつになっても嫌なものである。
「70点か……」
返ってきたのは数学。どちらかといえばそんなに得意な教科ではないが、今回はまぁまぁな点数だった。
「………………」
相変わらず無表情のまま席に着く玲那。
やたら人の点数が気になってしまうのは人間の性か。横目でこっそりとテスト用紙の右上を見る。
「…………ですよねー」
やはり予想通りの、1とゼロ2つのキレイな数字。
人生で何回拝めるだろうかわからない点数を、この少女は易々と取ってしまうのだ。
「やっぱスゴいよなお前」
「そんなコト……ない……」
ほんのりと頬を朱に染め、ギュッと目を瞑ってフルフルと首を横に振る仕草は、なんとも可愛らしい。
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