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「ダメ……。一紀は、私が抱きつく……」
トンと軽くぶつかる感触がしたかと思うと、玲那までもが後ろから抱きついてきていた。
普段、先に抱きついているのが愛華だったとしたらケンカ勃発になるところだが……
「あ♪玲那ちゃんもですか♪一紀さん人気者ですね♪」
「一紀、温かい」
まさに異色のコミュニケーション。いや、訂正しよう。会話になってなかった。
そして俺は、別の意味で他の男子から人気があるようだ。
やぁ兄さん。そんな怖い顔してどうしたんだ?
冷や汗が出てくるじゃないか。
「アッハハハハハハ!!おもしろいなぁ~」
突然、赤団の群れの一番奥から、大きな笑い声が聞こえてきた。
自然と群れが2つに分かれ、そこから腕を組んだ見覚えのある姿が姿を表す。
「夏華。相変わらず巨乳だなぁ。私にも分けてくれないか?」
「ふぇっ!?」
いきなりなんてコトを言うんだこの人は。しかも大声で。体育館に響く声で、他の団もチラホラとこちらを向く。その視線の中心には、やはり俺がいる訳で……巻き込まれたな………
「羨ましいぞお前。1年のくせして、学園一人気の女の子に抱きつかれてるんだからな。おっと、もう1人、可愛らしいお嬢ちゃんもいたな。」
腰まで伸びた青髪のポニーテールが、本来の髪の長さを連想させる。
俺の下まで歩み寄ってきた委員長は、腰に両手を当てて、意地悪そうにニヤッと笑い、顔を覗き込む。
「なんで俺が1年だって……」
「ん?お前、孔寺蓮トコの副委員長だろ?いつも2人でコントみたいコトして、印象に残ってるからな」
2人でコント…。香須美が聞いたらショックを受けるコトだろうな。
ていうか、覚えてたんだ……。
少し意外で、キョトンと目を丸くしてしまった。
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