体育大会パートつー

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「ふん、まぐれよまぐれ」 香須美が腕と足を組んで、ソッポを向いている。今日の香須美は走りやすいようにする為か、後頭部で髪をまとめたポニーテール。 その爽やかな髪型が体操服とよく合うんだなこれが。 ガラッと印象が変わった香須美に、クラスのほとんどの男子の目も釘付けになっていた。 「…香須美はどうだったんだ?」 「うるさい。今機嫌が悪いの。話しかけないで」 「お前から話しかけたのに「なんか文句あんの?」何もないです」 ギロリと真っ赤な眼光に睨み付けられたので、おもわず肩をすくめる。香須美が再びソッポを向いた瞬間、愛華に 「なんであんな怒ってんだ?」 と、耳打ちをした。 愛華も俺を真似て、両手を耳に当てて耳打ちをする。 「いっちーが自分より速かったから、悔しいんだよ」 なるほど、キングオブ負けず嫌いが本領を発揮しているらしい。 1人、ムスッと負のオーラを放つ香須美には誰も近づこうとしない。 というか、なんで俺が敵に回されているのか甚だ疑問だ。 いや、ある程度は予想がつくか。大方、自分より遅かった俺を蔑み 「はんっ!女の私に負けるなんて、人間の底辺にも程があるわね!この負け犬!」 とでも言いたかったんだろう。俺が見たところ、香須美もかなり速かった。あいつのタイムに負けた奴もいるだろう。 それなら、何人の人間の底辺がこの世に生み出されるコトだろう。
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