第一章《生きる》

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「先生、今日は空が綺麗ですね」 僕のあの、怒りと憎しみに満ちた赤い目は、今はもう変わっている。 あの時いつも見ていた茜色の太陽のように雄大で優しく。 あの大嫌いだった【白の悪魔】達も、今は話し相手になってくれている。 茜に出会って、本当によかったと思っている。 茜が死んだのは…… 茜が死んだのは本当に悲しいが、茜が残してくれたものの多さを考えると、感謝の気持ちが溢れて、涙が出てくる。 この涙は、純粋な感謝の涙…… あの茜が死んだ日から泣かないと決めていた僕は、ずっとずっと…… 頬を濡らして微笑んでいる。 ああ……茜…… 君は、本当は天使だったんじゃいか? 幸せを、僕に与えてくれたんじゃないのか? 本当は…… まだ……生きてるんじゃないのか……
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