第一章《生きる》

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『そうだったんだ……』 茜は、友人を大切にする人。 茜とはよく、色の話をしていた。 【青】は、冷静さと優しさのイメージを持たせる色。 緑が言う。 『それ……茜の』 緑は泣き止むと、そっと茜から手を離し、僕が持っていたオルゴールを手に取った。 『これ……茜の宝物』 緑は、そのオルゴールの蓋を開けた。 流れる音楽は、こんなに悲しい僕らの心を察したかのように、静かに音を奏でた。 さらに中で踊り出す人形達のダンスに、僕は見入ってしまった。 このオルゴールの世界に引き込まれそうになった僕に、緑が声をかけた。 『この曲、ノクターンっていうの』
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