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おじいちゃんが消えた翌日。
12月24日。クリスマスイブ。
街もきらびやかなツリーやクリスマスの飾りで着飾って。
ケーキ屋さんはサンタのコスプレをした女の子達で必死に客を呼び込んで。
オモチャ屋さんも、お菓子屋さんも大忙し。
でも、私はそんなきらびやかな中に入っていく気分じゃなかった。
おじいちゃんが消えたんだ。
跡形もなく……。
ううん……。一つだけ、鍵を残して。
おじいちゃんが消えた部屋の真ん中に金色の鍵が一つ。
その横には、《メリークリスマス》って描かれたカードが一枚。
多分これは、おじいちゃんから私へのクリスマスプレゼント。
だけど、どこの鍵かわからない。
翌日、街に降りた私は街の人におじいちゃんの事を聞いてみた。
だけど、みんな知らないって。
そうだよね……。
だっておじいちゃんは、一度も街に降りた事がなかったんだから。
山の上の小屋で私と二人暮らし。
買い物とか、全部私が街に降りてた。
でも、クリスマスだけは、おじいちゃんはどこかに出かけて行った。
私へのプレゼントを私に買いに行かせるわけにはいかないもんね。
でも、そんなクリスマスの前日に、おじいちゃんは消えてしまった。
とてもクリスマスを楽しむ気分にはなれないよ……。
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