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時は7月上旬。
神谷学園の高等部学生寮のとある部屋。
美少女がエプロン姿で自分が作った夕食をテーブルに並べていた。
彼女の名前は風見唯菜、この部屋の主である冴えないオタクメガネ少年風見大樹の妹だ。
残念なルックスの大樹に比べて唯菜は本当に大樹の妹なのかと疑ってしまうくらいの美少女なのだ。
これを魔法界のことわざで【小鳥が鳳凰を産む】と言うらしい。
「うまそー」
妹に呼ばれた大樹がすぐにキッチン前にあるテーブルの席につく。
「うましょー」
そんな大樹の後をトコトコついてくる幼女がいる。
大樹が自分の故郷で拾ってきた時音である。
この時音、よく言葉を噛んでしまうのだ。
「と、時音ちゃん……自分の席で食べようね」
大樹の膝にちょこんと座っている時音を見て唯菜の食器を持っている手がプルプルと震えていた。
「う~。でもダイお兄ちゃんはこういうタイイがしゅきって狐さんが言ってた」
「“ブーッ”ななな、なに言ってんだ時音!?てか師匠は何を教えてるんだ!」
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