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ガッ!!
ベッターン!!
「あ、ごっめーん?見えへんかったわ」
「………」
廊下という公衆の面前で、見事に顔面を床とゴッツンコした。
周りからクスクスという笑い声が聴こえてくる。
むくりと、身体を起こすと、なんか鼻の下に生暖かい感触…。
「うわー、梅ちゃん鼻血出てんで?大丈夫!?」
「……」
大丈夫ってわりに、めっちゃ笑ってますやん。
や、だいたいわかってんやけどさ…。
「ちょっと梅!?大丈夫!?」
あたしが完全に立ち上がって、ゆりりんの顔を見たとき、タイミングよく今度は本当の『大丈夫』って声がかけられた。
声のした方を向くと、クラスで一番の仲良し、栞ちゃんが心配そうに駆け寄ってきてくれるとこやった。
「……うん、大丈夫」
あたしは栞ちゃんにそう言ったのに、
「あ、ほんまにー?じゃあうちらもう行くわー」
侘びれる様子もなくゆりりんはそう言うと、一緒におった子達とその場から立ち去った。
その背中を栞ちゃんが不審そうに見た。
「は?何なん?てかわざと足引っ掛けてたように見えたんやけど?」
「……」
栞ちゃんの言うとおり。
あたしと桜クンが付き合ってるのを知ったゆりりんの嫌がらせ。
さっそく次の日から始まった。
今日だけで既に5回目ぐらい?
「てか梅!とりあえず鼻なんとかせな――!!」
「うん」
本人よりも慌てた様子の栞ちゃんに連れられて、とりあえず保健室に向かうことにした。
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