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「桜くんってめっちゃ癒し系よな~」
「ほんまほんま~めっちゃ可愛いわ~」
ちゃう、ちゃうよ。
みんな騙されたあかんよ。
だって、だって――
「あ、おはよ~梅!」
ギクッ!
「!!」
机の上に教科書出して、
必死で読んでる“フリ”して顔下向けてるあたしのところに、
アイツは笑顔でやってこようとしている。
あかん、
あかんあかん、お願い!来んとって――…
ダンッ!
真正面からきたアイツは、机に両手をついてグイッと顔を寄せてきた。
「――おまえ何先学校行っとんねん!シバくぞボケ!」
…誰デスカ。
低っくい声出してすごんでんのは。
「………」
「あ、そうやー」
それから何事もなかったように、ぱっと顔をあたしから離して、アイツは言う。
「オレ、梅に渡すもんあんねん。今日ウチ取りにきてや」
「………」
「な☆」
この、
目の前できゅるんっとした愛くるしい笑顔を向けてくるのは、
まぎれもなく、
さっきと同一人物。
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