その天使、憂鬱

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赤い瞳に腰まで伸びたクリーム色の髪。 上級天使の証の白きコート。 天使とは思えない冷たい赤き瞳は、悪魔を思わせるような瞳だった。 それが彼、アラスだった。 「いいか、アラス。この後は必ず神への報告を忘れるなよ」 「やれやれ、本当に小言がうるさいねぇキミは」 「な、何だと貴様!」 先ほどからアラスに対し、説教している天使。 肩よりも下に伸びた癖っ毛の銀色の髪に金色の瞳。 美形の部類に入る綺麗に整った顔。見た目だけでは年齢は25前後と見える。 クールそうな外見とは裏腹に、アラスの挑発に取り乱しやすかった。 それが彼、クロノスだ。 「全く貴様は上級天使として恥ずかしくないのか」 「上級天使など私にとってはどうでもいいのだよ」 怒り混じりに話すクロノスに対して、相変わらずアラスは自分のペースで話していた。 と、その時 「フフフ、相変わらずですね」 二人の背後で女性の声がし、二人は声の方向に振り返る。 「ああ、ソフィアか」 と、クロノスが返事をした。 アラス達の前に現れたソフィアという女性。        色鮮やかな真紅の髪は腰よりも長く伸びていて美しき顔立ちは見る者を魅了させた。 だが、顔立ちはどこか幼さがあり、微笑む笑顔には優しさがあった。 アラス達が着ている上級天使の衣装とは少し違い、白い純白のドレスと白い帽子を身につけていた。 この衣装も上級天使の証。 「またお昼寝ですか、アラスさん」 「あぁ、ここは一休みするのに最高の場所だからな」 アラスの返答にソフィアはくすくすと笑う。 「本当に相変わらずですね」 笑っているソフィアに対して、クロノスは額に手を当て、深く溜め息をつく 「相変わらずだから困るんだよ……」    
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