その天使、衝動

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ある日の事だった。 アラスはいつものように、宮殿の屋上に寝転がって本を読んでいた。 すると、アラスの元に下級天使がやってきた。 「アラス様、神より緊急の任務です!」 「……なんだね、騒々しい」 アラスは読んでいた分厚い本を閉じて、身体を起こすと不機嫌そうにやってきた下級天使をジロリと見る。 下級天使はその威圧感に思わずビクっとする。 「す、すいません!」 「そんな事より、任務の内容を説明したまえ」 「ハ、ハイ!」 相変わらず、下級天使はおどおどしている。 無理もない、相手はあのアラスだ。 「に、任務の方ですが、先程悪魔の発見が確認されました。どうやら悪魔が人間と接触している模様です」 「フム、場所は?」 「ハイ、日本です」 「なるほど……」 悪魔 天使と対なす存在。 簡単に言えば、敵だ。 悪魔の力は強く、対抗できるのは上級天使のみだ。 そして、悪魔は人間の前によく現れる。 目的は取り引きだ。 悪魔達は人間に”望みを叶えてやる”と、持ち掛けてくる。    人間はそれを受け入れると、本当に悪魔は望み通り願いを叶えてくれる。 だが      悪魔は人間に願いを叶えさせることが目的ではない。 悪魔達の目的は…… 人間の魂だ。 悪魔は願いを叶える取り引きが成立すると、最後には対価としてその人間の魂を喰らう。 悪魔は人間の魂を主食としていた。 人間に接触する理由は食事の為 その行為を裁くのが、天使の役目だ。 天使は人間に幸せを届けるのが仕事ではない。 人間の幸せを守るのが天使の仕事だ。    
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