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真っ暗な路地に、やたらと煌めく建物。
元々田舎に住んでいた俺には見慣れない光景で、少し腰が引けてしまった。
「ここ…?」
「見ての通り、キャバクラですよ!」
そうやって目をキラキラさせて言うのは、先程取引を行った相手企業の社長の大倉さん。
取引の話をしているうちに俺のことを気に入ったようで、取引後にこの場所に連れて来られたのだ。
「ここに俺のお気に入りの子がいるんですよ。是非安田さんにも見てほしくてっ!」
そう言いながらズカズカと中に入っていく大倉さん。
ここで引き返すわけにも行かず、大倉さんの後をひょこひょこ着いていった。
「あ、大倉さん。今日もすばるにしますか?」
「もちろん!!」
男前な店員さん(じゃなくてオーナーさんかな?)の問い掛けに、大倉さんは答える。
顔も覚えられてるんやな…なんて関心してると、
「後ろの方は?指名したい子はいますか?」
と聞かれてしまった。
もちろんここのキャバクラは初めてで…というより、キャバクラ自体初めてで
どうすればいいか分からない。
「あ、この方にはオススメの子つけてあげてください。」
「解りました。呼んできますので、座ってお待ち下さい。」
そう言って男前のオーナーさんは遠ざかっていった。
「安田さん、立ってないで座って下さい?笑」
「あ、は、はい!」
ボーッと突っ立っていた俺に、大倉さんから声がかかる。
恥ずかしい…/
少し待っていると、突如明るくなる大倉さんの顔。
「大倉さん、こんばんはー!」
元気のよい声が俺の後ろから聞こえてパッと振り返ると、1人の女性が走り寄ってきていた。
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