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「じゃあ昴、また仕事が一段落ついたら来るから!」
「はい、お待ちしております」
昴さんは大倉さんにお辞儀をした後、
「安田さんも、またお越しになって下さいね」
と丁寧に俺にもお辞儀してくれた。
少し微笑みながら言うその表情がやはり美しくて。
またもや顔が熱くなってゆく。
「あ、は、はいっ!とても楽しかったです!また来ます!」
やってもうた…
俺、緊張するとめっちゃ早口になってまうねん。
しかもおもくそ90°で礼してもたし…
「ふふ、お待ちしてますね」
ちょっと笑われた…ああ、恥ずかしすぎる…。
「安田さんも昴狙いですかー?ライバルですね!」
なんて酔った大倉さんが大声で言うもんだから、俺は苦笑いするしかなかった。
ふと目が合ったので、『また来ます』と笑いながら昴さんに言った。
そのまま、やっぱり可愛いなと思って昴さんを見ていると、大倉さんは昴さんの腕を引いて胸に引き寄せた。
「―…―」
「――……」
何の会話をしているのかは全く聞こえない。
しかし行動力のある大倉さんを尊敬したのは事実。
あんだけ俺も積極的になれればなあ、って。
2人の会話が終わり、タクシーへ乗り込む。
「お2人とも、お気をつけて」
軽く会釈をして昴さんは俺達を見送ってくれた。
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