芥川

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もう会えないと分かっていたなら――わたしは、あなたに答えてあげるべきだった。 白玉か何ぞと人の問ひしとき 露と答えて消なましものを 露のように儚かった私達の恋。 どうせなら、あなたと二人きり、露のようにこの身ごと消えてしまいたかった。 姫―― 男が顔を上げると、目の前には白い月の光を受けて、雨露のきらきらと光る草原が広がっていた。 その光景が星空よりも美しくて――男は、また、泣いた。
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