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「ったく。あの糞親父!」
金髪と深い青い瞳が特徴的な少年、ジェイク=フラットシャルトは路地に転がっている空き缶を思いきり蹴飛ばした。
虚しい音が響き渡り、空き缶はどこかへ飛んでいってしまった。
ジェイクはそのくらいでうっぷんが晴れるわけもなく、むしろ余計に腹が立った。
というのもジェイクはついさっきまでマフィアのボスである父と、激しい口論を繰り広げたばかりだったからだ。
あまりにも腹がたったため、ジェイクはアジトである家を飛び出し、この人気のない路地裏を歩いているのである。
「きゃあー!」
そんなときだった。
路地裏に一つの女性の悲鳴が響き渡る。
実はこの路地裏、人目につきにくいためトラブルが絶えない。
ここを歩き慣れたジェイクもそれは知っている。
悲鳴や罵声なんてしょっちゅう。でもそれが女のものと分かれば話は別だ。
ジェイクは悲鳴がしたほうに走っていった。
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