一章

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「これは…!」 「センリ?それがどうかしたの?」 センリが手に持っている物を見ていると、目を見開いた。 2人はお互いを見合ってから、ミラが覗き込むようにして聞いた。 「へぇ~…それ、やっぱりわかる奴いるんだな。外しといて正解…でもないな」 「!、あんた…」 突然聞こえた声に驚き3人が見ると、さっき荷物をひったくった男が頭を掻き少しバツの悪そうな表情で笑い立っていた。 「別にその荷物の中身はやるが、お兄さんの持ってるそれは返してくれよ、大事なモンだから」 男はセンリを指差し言った。 「これ…あんたの物か?」 「そうだ」 「……」 男は困った笑いをしながら言った。 それを聞いたセンリは男に歩み寄り持っていた物を返した。 「ありがとう」 ホッとした笑みを浮かべ返してもらったそれを見ると、男は礼を言った。 「ちょ、センリ!どうしてそれ渡しちゃうの?!」 ミラが不服そうに言うと、センリは振り返り『他はくれるって言ったんだ、いいだろ』と言った。  
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