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集合場所である最寄り駅の待合室に舞はいた。
付き合った頃より少し痩せたのか、二重顎がスッキリした顔が俺に微笑む。
「お待たせ。遅くてわりぃ…。」
…とはいうものの、まだ待ち合わせ時間の15分前。
いつもお互い、集合するのが時間より前になるが俺は舞より先に来たことがない。
…何分前からいるんだ。
「ううん、あたしが早く来すぎただけだから!」
勢い良く首を振る舞に、口元を押さえる俺。
犬みたいで可愛い…なんて、にやける口元を必死に隠した。
「じゃ、行こうか。」
と、舞。
切符を買って、改札を通る。
「ん。」
素直になれない俺は、手を出すので精一杯。
察してくれ~~~、と念を入れれば、クスッと笑ってそっと手を握る舞。
俺の指が舞の手をギュッと軽く握る。
その度に、少しだけ満たされた気分になった。
*゚
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