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いろんなことがあった舞と俺は
でもその時々ちゃんと相手と向かい合って真剣に壁を乗り越えてきた。
そんな生活が続いて早1年半。
俺たちは3年生になり、2年の後半から少しずつ染まっていた受験ムードも濃くなり
舞と俺も、話の内容が自然とそっちに向いた。
「謙太君は、志望校とか決めた?」
隣を歩く舞から声がする。
月日は経つのに変わらない呼び方―――君付けが、初々しいし舞らしい。
「あ…?いや、まだ決まってないけど…。」
そう言うと、舞は心底驚いた顔をして
「謙太君は決めてるのかと思った…。」
と、呟いた後に
「あたしはね、薬科大にいきたいんだ。」
と声を弾ませて言った。
そこでハタと俺は気付く。
―――薬科大なんて隣県にしかないじゃないか。
―――遠距離になるじゃないか。
だが、俺は何も顔に出さず「俺もさっさと決めなきゃなー。」と空を見た。
2つの飛行機雲が綺麗に平行線を描いた空は青かった。
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