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舞を家まで送る。
学校からの帰り道の日課だ。
今日もそれは例外ではなく、相変わらず俺の側で笑っていてくれる舞を家まで送り、俺は自宅までの道を1人歩いていた。
「志望校…かぁ。」
蚊の鳴くように呟く声はなんだか焦りの色を帯びていて、「早く決めなきゃなぁ。」なんて続けた。
正直な話、
舞が志望校を既に決めていたなんて考えもしなかった。
殆どの時間を俺と共有していたのに
舞の中心は俺で、俺の中心は舞だった筈なのに。
そこまで考えて、気付く。
俺はなんでこんな気持ちになってんだ。
やるせないような、舞を遠くに感じるような…なんとも言えないフワフワ浮く気持ち。
「志望校…調べようかな。」
そんな気持ちを早く取ってしまいたくて、俺は少し駆け出した。
*゚
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