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「ただいま。」
ボソッと呟いて家に入れば、スウェットに着替えてパソコンを立ち上げる。
とりあえず、舞の志望校である薬科大を調べたくてウズウズしていた。
一番近い、隣県の大学名で検索すれば…
「すげ…。」
ようこそ!と大きく書かれたトップ画面には、その大学だと思われる写真も掲載されていた。
大きな校舎。
落ち着いた授業風景。
頭の良さそうな生徒たち。
一気に画面に夢中になった。
国内大学で最大規模を誇ると言われる図書館や、噴水のある敷地内。
薬学のことは全く勉強してないが、俺もこの学校に行ってみたい、進みたいと思った。
理由は単純で、舞と一緒に居たいとか、校舎が綺麗だからとか…。
高校選びすらまともにしなかった俺は、そんな理由で充分かな、なんて馬鹿なことを考えていた。
食い入るように見ていた写真たちから、俺はふとあることに気付く。
「頭の良い奴ばっかなんだろーな…。」
そこに映っている生徒たちは参考書らしき厚い本を読みながら歩いていたり、授業が終わった後も先生に質問らしきものをしていたりと、
少なくとも、俺のようなダラーンとした格好で適当に学校生活を過ごしてきた奴とは違う雰囲気が出ていることは確かだった。
「舞もこんな雰囲気の奴らの方が、俺みたいな奴より…。」
なんて考えてしまうほど、俺は胸が落ち着かなかった。
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