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ふと、勇斗は思い出した。
昨年のクリスマスイブは、終業式で学校に行ってたっけ?
「ご注文繰り返します。
スパゲッティが一点、
ハンバーグとエビフライセットが一点……」
勇斗は、今年はファミレスでアルバイトをしていた。
3年生の冬なので、本来ならば受験シーズンな訳だけど、勇斗は推薦でもう大学を決めている。
車の免許も取って、
もう大人になってきたんだなと思うと、どこか寂しい気持ちになってしまう勇斗だった。
「――以上で宜しいでしょうか?」
「はい」
「では、しばらくお待ちくださいませ」
勇斗は笑顔を残し、そのテーブルを離れた。
今の客は、きっと学校帰りのカップルなのだろうと予測する。
学生服の男女で、高校生にしては幼く見えたから中学生なのだろうか?
ふと振り返り、勇斗はあの二人を見た。
楽しそうに会話していて、やはりそうなのだと、密かに確信を持った。
そして勇斗は、あの二人が羨ましくて仕方がなかった。
(本当はバイトなんか休んで、優里と一緒に過ごしたかったのに)
そう思わずにはいられなかった。
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