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勇斗の家は、
決して裕福な家庭ではない。
車の免許は取らせて貰えたけど、生活費や家賃は勇斗が払わなければならなかった。
勇斗は、大学から独り暮らしを始める。
そのため優里とは離れ離れになってしまう。
だからこそ、卒業まで優里と過ごす時間を増やしたいのにと、ワガママな不満が胸に募る。
勇斗は、時計を見た。
まだ昼の12時。
上がりの時間は夕方6時。
「……はぁ」
「どうしたの?」
話し掛けてきたのは、勇斗と同じバイトで、1個上の杏奈だった。
(この人、モデル並みに美人だよな。黙っていれば本当にマドンナという二つ名が似合いそうな人だけど)
「あ、いえ。なんでも」
「あ、分かった~!私の一発ギャグが見たいんだ~!」
「え?あ、いや俺は」
「ダイジョブダイジョブ~♪
ダイジョブダイジョブ~♪」
「こら杏奈!お前はもう上がりだろ!邪魔するならさっさと帰れ!」
「あ、すみません店長!
じゃーね勇斗君、おっさきー、おっひさー、おっはー♪」
「杏奈!!」
「は~い」
(ほんと……残念な人)
勇斗は苦笑いするしかなかった。
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