クリスマスの恋人達

4/16
前へ
/16ページ
次へ
店を出ていく杏奈を見ていると、外の駐車場に見覚えのある黒い車が停まっていた。 店を出た杏奈は、 その車に駆け寄り、乗り込んだ。 その黒い車が、 杏奈の彼氏の車だということを勇斗は知っていた。 今まで何度か見たことがあるし、杏奈が以前、彼氏の車だと言っていたのだ。 (いいな……杏奈さん。 俺も早く優里と……) 「勇斗!オーダーは!?」 「あ、はい!スパゲッティとハンバーグ――」 (羨ましがってても仕方ないか。今はバイトに集中していよう) 勇斗のクリスマスは、 まだ始まらないようだ。 一方、杏奈の乗り込んだ車の中。 「あいつ……鈴本のことガン見してたよな」 杏奈の彼氏、中原優はモヤモヤした気持ちを抑えきれずにいた。 それが分かった杏奈は、嬉しくなって、ついからかってしまう。 「え、まさか嫉妬してる~?」 「はあ?まさか――」 「嫉妬だ嫉妬だー! シッティング中原君やーい」 「ぶん殴るぞテメェ!」 「でも嬉しい! ありがとね、中原君」 「う、うっせーバカ」 (あはは、照れてる照れてる)
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2523人が本棚に入れています
本棚に追加