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(嫉妬かあ……嬉しいな)
「へへへ……」
「あー、くそっ」
緩んだ頬が戻らない杏奈。
実は杏奈は、普段からある“不安”を密かに胸に抱いていた。
だから優が嫉妬してくれてるのを実感することは、嬉しくて堪らないことだった。
杏奈の不安。
それは“名前の呼び方”だった。
どうしても杏奈の中にチラついてしまう“円香”の存在。
円香と付き合ってるときは名前で呼んでいた優。
なのに自分は、苗字のまま。
それだけではない。
杏奈が優に“好き”と言われたのは、2年前が最後になっている。
感じてしまう、
円香と自分の差。
疑ってしまう。
優の気持ち。
(……中原君、2年前に一番は私だって言ってくれたよね。信じていい……んだよね)
杏奈だって、
ただお気楽なバカじゃない。
自由奔放で明るい杏奈にも、悩みはあるのだ。
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