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郁子が私のところへやってくる。
「ねぇ、一緒にお弁当食べようよ」
私が頷き、片付けていると郁子は小さなお弁当の包みを持ってやってきた。
郁子とは高校に入って仲良くなった。それまではそんなに親しくなかったのに、なんでか忘れてしまったけどすごく仲良くなって、今じゃ一緒のクラブに入るまでになった。郁子にはいつも本音で話すことができた。みんな同じ格好を強要されて辛くないのかとか、校則がおかしいと生徒会で挙がっても、私は毎日洋服を考えるのは面倒だからちょうどいいと思っていて、郁子も似たような考えだったから安心した。
郁子の家は転勤族だった。だけど、おじいちゃんが亡くなっておばあちゃんも調子が悪かったことから郁子のお父さんは仕事をやめて中学のときにこっちへ戻ってきた。今はのんきに農業やってるよ、と郁子は笑った。
郁子から聞く都会の街の話が好きだった。コンビニや深夜まで開いているスーパーマーケット、ゲームセンター……当たり前の話がコンビニもないような街で育った私には新鮮だった。
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