傷痕

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…そうだっけ? 10年前っていったら、まだ5歳か6歳くらいのはずだ。それにしては生意気な事を言ったもんだ。 でも、そういえば…。 なんとなく、思い出した。 「思い出したよ。君は、公園のベンチでバイオリンケースを抱えて泣いていたんだ。僕はなんとかして元気になって欲しくて、必死に言葉を探したんだ」 「覚えていてくれたんですね。…ありがとうございます」 樹は本当に嬉しそうに笑って、僕にキスをした。
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