傷痕

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樹の時計のお陰で、朝までぐっすり眠る事ができた。 昼頃になって、樹がうちに来てくれた。 「巴、大丈夫ですか?」 「樹の時計のお陰でよく眠れた。ありがとう」 僕が時計を返そうとすると、樹はそれを止めた。 「あなたが持っていて下さい」 「でも…」 こんな高そうな物…。 「あなたに持っていて欲しいんです」 樹は時計を持った僕の手を上から握った。 「ありがとう、樹」 「いいえ」 樹は優しく微笑んだ。 「あれ樹、目が赤い」 樹の白目が何だか赤い。 「昨日、あなたたちが帰った後、単がずっと飲んでまして。僕はひたすら単の飲む酒を作らされてて、やっと解放されたのが4時でした」 …そりゃあお疲れさま…。 単さん、お酒強そうだから…。 「大変だったね」 「はい。まぁ、滅多に無い事なんですけどね。何かあったんでしょう」 何か…何だろう? 多少の事では全く動じない、いつもクールな単さんだけど…。 ま、単さんにも色々あるんだろう。
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