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「エミールが見つけてくれて、僕は助かりました。そうして僕はここにいます」
「辛かったね…樹」
僕は、いつも樹がしてくれるみたいに、樹の頭を撫でる事しかできなかった。
「エミールは僕を励ましてくれましたよ。いつかあなたに会えるかもしれないからと。でも…」
亡くなったんだ…。
この傷痕にはそんなに辛い記憶が…。
乾いていた涙がまた、僕の頬を濡らしていた。
「樹…」
「巴…また泣いてますね」
樹が僕の顔を覗き込んで言った。
「ごめん…。僕が泣いちゃダメだな」
今度は、樹が僕の頭を撫でてくれた。
「いいえ。…ありがとう、巴」
樹も泣いていた。
「樹、話してくれてありがとう。辛い事、我慢しないで話して。二人だったら辛い事、半分になるから」
「巴…」
樹は僕を強く抱き締めてくれた。
二人で、支えあって生きて行こう。
ずっと…。
そう思った。
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