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僕の中を散々引っ掻き回して、僕の中にほとばしりを残して、やっと山岸は僕から出ていった。
僕から離れた山岸は、
「また可愛がってやるよ」
そう言い残して出て行った。
山岸が出て行った後、僕はすぐに風呂に駆け込んだ。
身体に残った山岸の痕跡が気持ち悪くて気持ち悪くて。
あちこちが痛む身体を、皮膚が赤くなるまで洗っても、気持ち悪さは取れなかった。
身体を洗いながら、脳裏に山岸の言葉が浮かんだ。
「また可愛がってやるよ」
…また?
またあんな事されるのか?
嫌だ。
怖い。
逃げなきゃ…。
あいつが帰ってくる前に。
僕は急いで風呂から出ると、服を着て家を飛び出した。
駅まで全力疾走して、電車に飛び乗って、山岸がいない事を確認して、座席に腰掛けた。
少し落ち着いて思ったんだ。
僕は汚されてしまったんだって。
樹はあんなにまっすぐに僕を愛してくれているのに…合わせる顔がない。
本意ではなかったにしても、僕は彼を裏切ったのだから…。
樹にはもう会えない…。
そう思ったら涙が溢れてきた。
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